納沙布岬からの眺望

道東方面の中でも、その遠さから一度も行ったことのなかった 知床根室
それが、連日ピカピカの天気抜群予報に駆り立てられるように、行くか?行くか!今しかないだろ!
行くしかないだろっ!!ウォー!と、半ば強引に北海道最果ての地へ乗り込むことになったのだった。

ルートも未定。一泊は適当にキャンプ。もう一泊は適当に宿を取るというベリーベリーアバウト計画。
合い言葉は 『行けばなんとかなるだろ!』 ・・で、いざっ。出発でぇい。


08/26
札幌→帯広→釧路→根室

08/27
根室→納沙布岬→野付半島
→羅臼→知床

08/28
知床→旭川→砂川→札幌

総走行距離 約1200km

 1日目 08/26 はじめての根室。はじめての体験・・・・。

昼まで仕事のオットを待ちつつ、せこせこ荷造り。知床方面は夏でも寒いと聞いていたのでフリース、キャンプ時の寒さ対策に毛布も持参。キャンプ本も持ったし、ナビもあるし、寝床確保は現地についてからでも『行けばなんとかなるだろ!』でGO!

見晴らしがよく好きな峠、日勝峠ルートで比較的順調に帯広入りできたので、『六花亭』に立ち寄り、ケーキと珈琲でひと休み。 日も暮れた頃には釧路に到着。釧路が本拠地でもある『なごやか亭』に乗り込み、まわる寿司で腹ごしらえ。ネタは季節柄サーモン系が多く、サーモン系に関心がないわたしは少しガックリ。このあと、道東地方のガイドブックを立ち読みしようと、適当に見つけた大きそうな本屋に入ってみたらなんと『オトナ(というかヲタ?)の本屋』でビックリ!アワワ〜。 ああ、なんてこったい釧路。

結局、ガイドブックチェックも出来ないまま根室に向かい、そこで宿をとることに。 厚岸から先に行ったことがなかったので、小さくワクワクしていたんだけど、根室への道のりは、暗く暗くひとけもなく、まるでこの世の果てに向かう引き返せない一本道に見えた。
22時を過ぎた頃、ようやくほのぼのとしたマチ灯りが見えてきた。マチ全体が寝入ってるかのように静か。広い道路には車もほとんど走っていない。ここが根室か・・。と、浸ってるヒマもなく、寝床確保のため、めぼしい宿に電話をかけた。満員だった。最初は、宿の建物を見てから電話をかけていたのだが、終いには手当たり次第かけた。たぶん、根室市内にある全宿に問い合わせたんじゃないか?てくらい全力を尽くした。そして、ようやく宿泊地が決まった。というか選択の余地がなかった。
スワン44ねむろ』・・・ の駐車場。
わたくし、生まれてこのかたはじめて車中泊というものを経験いたしました。
キャンプ用にと持参していた寝袋と毛布がこんなところで役に立ったよー☆ ・・て、フルフラットにならない助手席でひと晩。寝られるもんじゃなかったっす。足伸ばせないし、シフトレバーも邪魔だしー!(涙)

 2日目 08/27 北海道の端っこは厳しい風が吹いていた。

『スワン44ねむろ』の駐車場には、他にもたくさんの車中泊の方たちが“宿泊”してらした。どうやらここは根室宿泊における穴場らしい。朝になると、洗顔や着替えをする他の“女性客”らとトイレで出会う。お互い、ヨレヨレ具合を気遣うように、目を合わさないような感じで軽く会釈をしてすれ違うのだが、それでもそこには何かしらの強い同士魂のようなものを感じるのであった。

明け方から降り出していた雨も止み、青空が広がったのを合図に納沙布岬へ向かった。
細い半島の先端にある岬への道は、華やいだ観光地とは全く異なる風が吹いていた。



ほんとうにすぐそこに見える北方領土を眺めながら、髪の毛も逆立つ荒くれた風に吹かれていると、強風にさらされた木々が傾きながらも成長していく北海道の荒々しい厳しさとたくましさ・・のようなものを肌で感じ、ピシーと身が締まるような想いがしていました。
『返せ!北方領土!』らの看板が続く道路を黙々と走っていくとたどり着く、そっけないくらいの岬。
『最東の碑』がないかわりに、日の丸がバタバタとはためいていました。

帰りは、納沙布岬からの北回りルートで。
飄々としたまわりの景色を眺めていたら、ふとこの歌が脳裏に湧いてきた。

 赤く燃え咲くはまなすを 望んではるかオホーツク
 長き旅路のさい果てに 風は冷たく吹き荒れる


松山千春。やっぱりアンタの歌は北海道の魂が感じられたよ。←何故に過去形。。
(※千春の歌ってる「はまなす」は知床方面のはまなすかもしれないが。いいのさ。)

 2日目 08/27 『ハセスト』の姉妹店? 根室の『タイエー』。

野付半島経由で羅臼入りを狙う前に、根室で食料補給をば。
前日から気になっていたのだが、根室市内のあちこちにあるこの『タイエー』というコンビニ。函館にあるやきとり弁当で有名な『ハセガワストアー』通称『ハセスト』にくりそつなのだ。と、思ったらやはり「ハセスト」系列なのだそう。今度はセイコーマートにも進出するよ!と店のおっちゃんが教えてくれました。



『ハセスト』のやきとり弁当の隠し味は「はこだてワイン」らしいけど、『タイエー』の隠し味は「十勝ワイン」。せっかくだから、違いを確かめるためにも食べておけばよかったなと今頃になって後悔の嵐だよ。
もひとつ小さな違い発見。帽子についてるイニシャル。『ハセスト』はもちろんHなのだ。(右画像)

 2日目 08/27 細すぎー!野付半島。そして羅臼へ。

道路の両脇が海だよ、海ー!と疲労が隠せない表情で喜びつつ、ほそーい海老のような半島、野付半島に到着。風強し。ここには『トドワラ』という有名な景色が見られる場所があるのだが、そこまでは歩いていかねばならず、疲労蓄積のわたしたち あっさり断念。なんとここでは一枚の写真もなし。



『北の国から』のロケ地になったことで、にわか観光地化づいていると思われる羅臼に到着。
道の駅で仕入れたパンフを見ながら、適当に食事処に飛び込んでみたのだが、地元人じゃないとわかるといきなり高価なメニューを薦めてきた。おっちゃん、わかりやすすぎ。他の客に、何度もテレビ取材を受けてると豪語していたけど、おっちゃんオススメメニューじゃなかったからなのか・・日替わり定食といくら丼、それほどでもなかったんだな。がくん。写真もなしよ。

とりあえず腹ごしらえもすみ、知床でのキャンプに備えて、羅臼のスーパーで肉を買う。 ・・というか、キ、キャンプー!?オット相当キャンプしたいらしい。男の意地?男の意地を〜見せるでやーんす〜?

 2日目 08/27 知床の自然を前にヘタレ全開。

冬期間は通行止めになるという知床を横断する道路、その名も『知床横断道路』(そのまま)に入った途端、スコール・・ですか?局地的集中豪雨。横殴りの風。霧三昧。ついでに今日の予定も五里霧中。
嗚呼、知床の山並みは何処? 天気予報の快晴マークも何処??



知床峠の記念碑の前に車を横付けし、素早く窓を開けて撮した貴重な一枚。
それだけで、カメラのレンズ雨まみれ。でも、この天気の中、自転車を押して峠を登ってる人たちを何人か見かけたよ。ひとりは、Tシャツ一枚の超薄着。アンター知床の自然をなめてたね?えぇ、わたしもなめてたよ。この風と雨冷え。テント立てられるわきゃないっしょ!キャンプは中止、乗りたかった遊覧船も欠航サ!とくれば、宿を探さねば。もう、車中泊はヤなんだよ。ふあふあの布団で寝たいんだよー。
please futon! I need you futonー!!!!!!!!!!! ←魂の叫び

知床のマチに入ってからすぐさま、めぼしい宿に電話。突撃アタック。
が、根室で宿探していた時の過度使用により携帯の充電があとわずか。しかも、充電器も忘れてきたときてる。でも携帯が使えてるうちに適当な民宿を確保できたので、ホッとした気分で知床観光へGO。

夏場は一般自動車規制をしてるそうだけど、ちょうどその規制も解除されていたので砂利の林道「道道知床公園線」をマイカーでカムイワッカの滝へ向かう。この林道、万が一落ちたら下は深い沢・・な場所もあるのに、「路肩弱し」なんて看板がたくさんあって、対向車とすれ違うたびにわたしガチガチ硬直。


でも、この林道に入った途端、鹿、鹿、鹿ー!
あまりにもふつうに出てくるので、「あれはきっとサービスのためコンピューター制御された高性能鹿マシンだ。」なんて言い合うアホ夫婦。終いには写真撮る気も失せるほど鹿と遭遇。車を横付けしてもハムハム草をはんでたよ。鹿親子や鹿ファミリーもいた。 子鹿はかわいいのう。バンビ。バンビ。

で、硬直したり鹿に喜んでいるうちに知床八景のひとつ『カムイワッカの滝』に到着。 空気がウマイ!


フリース着てても雨冷えで寒い中、みなさん、短パンに履き替えて登ってました〜。滝登り。
わたしもやってみたい気持ちだけはあったのだけど、いくら「湯の滝」と言えどこの寒さには耐えられん・・ってんで断念してしまいました。準備万全で夏場のあつーい時期になら挑戦してみたいけど。



「道道知床公園線」の最終地点にある『知床大橋』。先は通行止めになっています。 ここにくる途中、まるで自殺の名所?と思えるほど深ーい渓谷、高ーい断崖があり、のぞき込まなくても膝下ケラケラ、お尻ゾワゾワ。そんな断崖の柵に上り、そこからジャンプするオイラの勇姿を撮れという我がオット。
アホ!?アホなのかっ?キミは。時折突風が吹いていたんですよ?横殴りの雨も降ってきていたんですよ?柵からツルリとすべって後ろの崖側に転げ落ちたらと思うと・・ 半狂乱に「ヤメテ」を連呼しながらしかたないので一枚だけ撮ったけど、オットってたまにこうゆうところあるんですよねぇ。
おかげで寿命と肌年齢が5年縮まりました。


晴れいていたらキレイなんだろうけど。 カッパの沼↑・・じゃないですYO! 『知床五湖』です。
ヒグマのお散歩気分によって、閉鎖・立ち入り禁止になる場合が多いそうなんだけど、この日は運良く全湖回れるとのこと。が、5つ回ると一時間半。・・雨、風、寒の3重苦にアッサリ2湖だけにしました。ビバ☆ヘタレ! フリース着てても雨に濡れたジーンズが体温を奪って芯から冷えてたんだもーっ。

それにしても、知床の雨はすごかったです。
雨間も束の間、風にたなびくレースのカーテンがぶわぁーとこちらへ近づいてくるようにして、雨がやってくるのです。見えるのですよ。
なので、みんな「わー!くるくる くるよー!」などと言いながら慌てて折りたたみ傘を開くのです。 子供の頃、見たい知りたいと思っていた「雨と晴れの境目」を頻繁に見られて、まあ面白かったけれど、願わくば観光してるときはピカピカの晴天がよいネ。やっぱり。

こうゆう看板があちこちに↑。ちょっと出会ってみたかったが本当に出会ってたら大変だ。

 2日目 08/27 宿でバタンQ。

勢いで決めた宿は民宿。じつは、民宿泊ってはじめてだったかも。でも、なかなかいいもんですね。
さりげなくあたたかいおもてなし、でもいい意味で放任主義。豪華じゃなくてもひと手間かけたおいしい食事、洗い場はみっつしかなくとも疲れた体に染みいる温泉のお風呂、そして自分で敷く布団。
念願の布団・・。 ほうーーっと落ち着けすぎて、ワタクシ20時過ぎには爆睡してました。なんと朝まで。
宿のごはんは本当においしかった。ホッケの煮付けは激旨だったし。あと、私たちは安プランだったのでついてなかったけど、鹿肉も出てたよ。鹿を見てきて鹿を喰らう。なかなか粋な計らいですな。(笑


民宿のすぐ裏手にある岩山の上には海鳥がいっぱい飛んでいた。
部屋にはなんとまた例のアレが!コツを掴んだ!とオットまたしても夢中。その間、わたしはゴロ寝中。

 3日目 08/28 札幌めざして一直線。

すっきり目覚めた朝。雨は上がっていたが、この日も遊覧船は欠航だった。
じつは前日、知床自然センターを通りかかったとき見かけた、尋常じゃない数の警官と、すれ違った救急車に、何かあったのだろうか・・と思っていたのだが、その晩のニュースで悼ましい漁船の海難事故があったことを知ったのだった。 なので、もしかしたら天候に関係なく、全ての遊覧船営業も中止になるかもしれないな・・と思っていたので諦めはついていた。 でももし営業していたとしても、小さな漁業町で起きた海難事故を知ってしまってからの遊覧は、いくら観光客の特権と言えども、複雑な気分だったと思う。 なんだか思わぬところで漁師町に住む人々のことをぼんやりと考えてしまったのだった。


知床付近の海岸線にある奇岩(写真は、ゴジラ岩。・・ゴ、ゴジラですよっ!? と、ガメラ岩。じゃなくてカメ岩。)を眺めながら、オシンコシンの滝に寄り、旭川ラーメン村、砂川の岩瀬牧場で胃袋を満たし、そのあとはもう転げるようにして札幌に戻ってきました。こうしてみると、疲労のわりに淡泊な旅だったね。

てことで今回の旅で得た教訓など。 旅に必要なもの、それは・・

1に体力、2に体力、3.4体力、5に準備。

ほんと体力のなさを痛感いたしました。
体力あったらなんでもできますもん。車中泊だろうが野宿(知床で野宿はキケン)だろうが。
というか、車中泊ごときでへこたれてしまった自分がくやしくてー。
いつかリベンジしたい気もするけど、その時はカーテン付きの大型車がいいゾ☆←つくづく甘ちゃん